9月になりましたね。しかし、まだまだ暑い日が毎日続き、突然ゲリラ豪雨が襲ってきたりする時もありますよね。皆様どうお過ごしでしょうか。
前回に引き続き、私が査察勤務時に自分の事案となった事件についてお話ししたいと思います。
私の査察勤務第2号事件は、自分で初めて担当し調査した事案です。
その事案は、税務署からの連絡事案だったと思います。今となっては、どのような経緯で査察に連絡が来たのか、よく覚えていないのですが …
何せ、約32年前(平成5年)の事なので、…
査察が着手する事になった経緯は、おそらく税務署の特別国税調査官部門が調査に着手した後、調査した収入金額等が、あまりにも申告額との乖離があり、査察部門に連絡しなければならない基準額を超えていた事から、税務署での調査ではなく、査察調査として着手すべきだと判断されたからでしょう。(と言うのも脱税等として物証(証拠)に結びつけるためには、関係者から故意や犯意の証言を収集する必要があり、つまり専門的な「質問てん末書(当時、… 現在は、「質問応答記録書」)」を作成等する必要性があったからです。)
何故ならば、査察調査の対象となったのは、何と、税理士さん本人だったのですから。
一般の税務職員が、税理士さんや公認会計士さんの調査を行うことは、まず、ありません。
先ほども述べましたが、税務署の特別国税調査官部門でしか、税理士さんや公認会計士さんの調査を行わないからです。税務の専門家が相手なので国税当局も税務職員として、それなりの知識があり経験を積んだもの(管理職経験者)にしか調査させないようにしているからなのです。
その査察調査の対象となった税理士さんは、実態は名前のみの方でした。… 実際に会計事務所に出ることもなく(恐らく表に出ないようにされていた)、… その配偶者が、そこの事務所の所長として … 事務所の経営から運営、対外的な交渉までの実務を、全てを取り仕切っていたからです。
その会計事務所自体は、その当時から税務部門と会計(記帳代行)部門に分かれている大きな事務所で、従事者数も多く、地方の小さな税務署を上回るような規模でした。
今、私が勤務させていただいている当事務所と同じくらいの規模だったような感じがしますね。
その査察事件の内容としては、所長さんが全てを取り仕切り、不正行為を行っていたものでした。
所長さんの息子さん2人も従事しており、1人は税理士さん(資格をとって間もない方)として、もう1人は、会計部門の責任者として勤務されていました。
事務所の皆さんも家族さえも、所長さんがしていた(不正行為)事を知らなかったようでした。(ただ、会計事務所の事務を取り仕切っていた昔で言う番頭さんのようなベテランの職員さんは、その行為を所長さんから指示されていたので、承知していました。反対できるような立場でないですからね。)
所長さんが旧家の家族の長でもあったことから、日頃から、家族でも一切口出し等もできなかったようですね。
所長さん曰く、旧家の家系を守りたかったとの事でしたが、…
調査自体は、不正行為を行っていた所長さんと番頭さんのようなベテラン職員さんとで進めていき、結果として、脱税額を算定し終了となりました。
最終的には、税理士資格を有していたご本人が、不正行為を行っていた所長さんの監督責任を怠っていたと責任をとられ税理士を廃業、その所長さんと共に検察庁に告発されました。
その後、会計事務所自体は、税理士資格を有する長男さんが引継ぎをされましたが、その当時、税理士の脱税行為として報道されましたので、その後は、大変だったと思います。
後で、聞いた話によれば会計部門を担当された次男さんと、番頭さんのような職員さんが多くの職員を引き連れて、別れて独立されたとのことでした。
所長さんが、何故、そのような不正行為を行ったのかは、本人のみ知ることでしょうけどね。
しかし、たった1人の行為が、多くの方の人生を狂わせたのは事実ですね。
所長さん自体は、旧家の家系を守りたいとの一念があったように、思いますが、…
調査自体は、その当時、組んでいた主査が、全てを取り仕切り(私は初心者だったので)、とりまとめされたのですが、「税理士と言う資格をもったものが、自ら脱税行為を行うという『破廉恥な行為』を行った。」と言う言葉を、どうしても使いたくて、関係者からの最後の質問てん末書に織り込んでいた事を記憶しています。
なお、本日は、ここまでとさせていただきます。
川庄会計グループ 川庄公認会計士事務所 戸島

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