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川庄 康夫 Yasuo Kawasho |
1.税務調査の本格的季節到来
毎年7月10日が税務署の異動日です。通常、その異動日を過ぎてから税務調査先の日程調整の連絡があるのですが、今年は6月下旬に「7月18日から3日間〇〇株式会社の税務調査に訪問したいのでクライアントとの日程調整お願いします」と連絡がありました。
例年になく早期に税務調査に取りかかってきました。税務調査官は可能な限り税務調査の件数を増やすように又できるだけ重加算税を課すようにと上層部からの指示が出ていると思われます。
法人、個人ともに実調率(税務調査が入る割合=税務調査の件数÷調査対象法人又個人の数)は低下しています。平成元年の法人実調率は8.5%でしたが平成27年には3.1%と下がっています。
個人の実調率は平成元年においては2.3%でしたが平成27年度は1.1%でした。1.1%ということは個人の税務調査は100年に1度程度の頻度ですが、現実は所得が多い納税者を対象に税務調査をし、修正申告により多額の納税をひきだす傾向があります。
同業他社との財務諸表比較や過去数年の税額比率等を検討したり、情報収集のために一定期間の交際費、外注費、仕入高、消耗品費等の支払先を領収証、請求書等から抜き出し報告する資料(「取引資料せん」といいます)を不特定の会社に提出依頼したりして、効率的に税務調査を行おうとしています。
税務調査において重加算税(35%の重いペナルティ)を課すことができれば、その調査官の評価が上がるとも言われていて、できるだけ重加算税を取ろうとします。
そのために「質問応答記録書」を記録し納税者の署名、捺印を求めてきます。簡単に言えば「私が悪うございました」と言う納税者の謝罪文です。署名はしない方がいいですが、やむを得ず署名をしなければいけない時は文章をよく読んで事実と異なるところ例えば(隠蔽、仮装を行っていない、帳簿書類の破棄、改ざん等は行っていない)などと訂正を求め、訂正された文書に署名するのが望ましいと思われます。
実際に税務調査官が作成した文章の要旨はこうです。「〇〇会社から集金した300万円は当社の帳簿に計上していません。私(社長)が受け取って決算期末では私が保管していました」となっていました。これでは重加算が賦課されます。
それを少し訂正すると重加算税は課されません。それは「保管し、翌期の×年×月×日に売上として計上しました」とすると過少申告加算税ですみます。
2.税務調査の現場にて
建物、構築物等固定資産の売買については取得価額から減価償却累計額を差し引いた帳簿価額で売買する場合には一般的に税務上は問題がないと思われますが、同族間において時価で売買する場合にその金額が「高い」「安い」と問題になることがあります。
ある会社でお客様から依頼されて400万円で倉庫を建築したのですが、諸事情があり2年程してその倉庫をその会社が引き取りました。
その後、他へ転売できないので会社はその倉庫を社長に帳簿価額よりも安く80万円で売却しました。この売却額が税務調査で問題となりました。
売却額の根拠にと第三者からその倉庫の見積書も入手はしていたのですが、80万円という売却金額は会社に損をさせて社長が利益を得ていることになるので売買金額を少し上げて修正申告してほしいと話がありました。
この時税務調査官が提示した「質問応答記録書」に「社長が実勢価格より安く購入した」と記載があり、その応答記録書を修正申告書に添付して提出してほしいとのことでした。これに対して、その応答書の最後に「修正申告を強要された」と付け加えたことで事なきを得ました。
3.納税額を減額してくれました
ある税務調査で納税者と税務署の間で見解の相違があり、時間も相当かかりました。私(川庄)も税務署の見解に納得できませんでした。
調査官は重加算税も視野に入れ、税務署の見解を出してきましたが税務署が計算した金額は重加算税も含めると所得金額の60%程にもなり、とても納付できない金額でした。
この修正を受け入れると会社が倒産してしまいます。
「修正申告は提出しません。税務署で更正してください。その時は自己破産申請します」と話をしました。
すると税務調査官から、その問題とは別の問題での修正申告をするよう依頼がありました。その結果、納税額が大幅に安くなり会社も存続することができました。
川庄会計グループ 代表 公認会計士 川庄 康夫
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Posted by Yasuo Kawasho
代表取締役 川庄 康夫
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