経営コラム - 2026-08-05

「会社が永続するための方法」②

かつて「会社の寿命30年説」が語られたが、技術革新やグローバル競争、消費行動の変化が加速した現在、企業の平均寿命はさらに短くなっている。上場企業でさえ主力事業の賞味期限は10年程度ともいわれる。一方で、日本には創業100年を超える企業が3万社以上存在する。両者を分けるものは何か。創業者視点、顧客視点、共創視点、そしてそれ以外の観点から整理する。

 

3. 共創視点――一社で完結しない価値創造

近江商人の「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」が示すように、長寿企業は自社の利益だけを追わない。社員、取引先、地域、株主といったステークホルダーとの共存共栄が、危機の際に企業を支える無形資産となる。社内では、社員を管理の対象ではなく共創のパートナーと捉え、エンゲージメントと心理的安全性を高めることで、現場発のイノベーションが生まれる。社外では、オープンイノベーションやアライアンスにより、自社にない技術や販路を持つ企業と組み、エコシステムとして価値を生み出す。変化が速い時代には、すべてを自前で抱える垂直統合よりも、外部とつながり続ける柔軟性こそが競争力になる。顧客をも共創者として巻き込み、共に商品やサービスを育てる関係を築ければ、代替されにくい絆が生まれる。

 

4. その他の視点――財務規律と事業の新陳代謝

永続には守りの経営も欠かせない。第一に財務規律である。老舗企業に共通するのは、借入を抑え、手元流動性を厚く保つ堅実さだ。好況期に膨張しないことが、不況期の生存確率を高める。第二にガバナンスと透明性。不祥事は一夜で信用を失わせるため、コンプライアンスと情報開示を経営の土台に据える。第三に「両利きの経営」、すなわち既存事業の深化と新規事業の探索を同時に行うことである。売上の一定割合を常に実験に投じ、事業ポートフォリオを新陳代謝させ続ける企業だけが、主力事業の寿命を超えて生き残れる。

 

結び

会社の永続とは、同じ姿を保ち続けることではない。理念という変わらぬ軸を持ちながら、顧客と共に変わり続け、社会に存在を必要とされ続けること。「変わらないために、変わり続ける」――これが寿命の短い時代における永続の本質である。

 

                                      川庄会計グループ 代表

                                      公認会計士 川庄康夫


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