経営コラム - 2026-08-04

「会社が永続するための方法」①

かつて「会社の寿命30年説」が語られたが、技術革新やグローバル競争、消費行動の変化が加速した現在、企業の平均寿命はさらに短くなっている。上場企業でさえ主力事業の賞味期限は10年程度ともいわれる。一方で、日本には創業100年を超える企業が3万社以上存在する。両者を分けるものは何か。創業者視点、顧客視点、共創視点、そしてそれ以外の観点から整理する。

 

1. 創業者視点――理念の継承と自己変革

創業者の情熱と決断力は成長の原動力だが、そのままでは属人的リスクとなる。永続の第一歩は、創業の想いを「理念・パーパス」として言語化し、個人から組織へ移植することである。何のためにこの会社は存在するのかという問いへの答えが、判断基準として社員に浸透していれば、創業者不在でも組織はぶれない。第二に後継者育成と権限委譲である。長寿企業の多くは、事業承継を「イベント」ではなく10年単位の「プロセス」として計画している。第三に「不易流行」の峻別である。守るべきは価値観であり、事業や商品は時代に応じて変えてよい。むしろ創業者自身が成功体験を自己否定し、変化を主導する勇気を持つことが、企業を老化から守る。

 

2. 顧客視点――提供価値で自社を定義する

企業は自社の都合ではなく、顧客の課題によって存在を許されている。永続する企業は、自社を「製品」ではなく「提供価値」で定義する。鉄道会社が自らを「輸送業」と捉えたために衰退したという「マーケティング近視眼」の教訓が示す通り、商品は陳腐化しても、顧客の根源的な欲求は形を変えて残る。その欲求の変化に伴走し続けることが延命ではなく永続につながる。また、短期の売上よりも信頼の蓄積を優先し、顧客生涯価値(LTV)を高める姿勢が重要だ。一度の取引で最大利益を取るのではなく、「またこの会社から買いたい」というファンを増やすこと。顧客の声を経営に還流させる仕組み(現場観察、データ活用、共同開発)を持つ企業ほど、市場の変化を早期に察知できる。

 

                                      川庄会計グループ 代表

                                      公認会計士 川庄康夫


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