平成26年度改正において、「認定医療法人の相続税又は贈与税の納税猶予・免除制度」が創設されました。この制度は、現在存在している医療法人の大多数を占める「持分の定めのある医療法人」から「持分の定めのない医療法人」への移行を促すために創設されました。
この制度は、出資持分を相続又は贈与をする際に一定の要件を満たすと、その相続又は贈与により発生する相続税又は贈与税の納税を猶予・免除するというものです。
医療法人の持分も、普通の株式などと同様に相続時又は贈与時の価額で財産評価を行う事になりますが、一般的に利益の出やすい医業についてはその評価額が高額になる事が珍しくありません。その為相続税が高額になり、継続的な医業の継続が困難となってしまいます。そこで国としてはこの制度を活用してもらい、「持分の定めのない医療法人」への移行を進めたいとの考えがあります。
しかし、この制度の適用を受ける為には、一定の期間内に厚生労働大臣の認定を受けた「認定医療法人」となる事が必要であり、「持分の定めのある医療法人」から「持分の定めのない医療法人」へ移行することが必要となります。
また、「持分の定めのない医療法人」への移行についても、一定の要件を満たさないと移行時において医療法人に贈与税が課税されますので、注意が必要です。
「持分の定めのない医療法人」への移行については、相続税又は贈与税の納税猶予・免除だけでなく、医療福祉機構からの融資についての優遇制度などのメリットがありますが、贈与税の課税などのデメリットもあるので、この制度をご検討される際には、これらを総合的に勘案されて判断されて下さい。
川庄公認会計士事務所 田口 由多加
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