経営コラム - 2014-01-11

会社の寿命 2/4

Posted by 川庄 康夫
Yasuo Kawasho

2. 企業の成長と発展 3つの視点

 

 昨年日経ビジネスが発表した、成長発展に欠かせない3つの視点というのがあります。日本企業にこれらの視点が欠如したために、わが国企業の成長が止まってしまったと提言しています。

 

(1)創業者視点・・・事業に取り組むにあたり自らリスクを背負って苦労を重ねながら起業した創業者(オーナー)と同じ目線を持つこと。

 

(2)顧客視点・・・「顧客の声を聞き、出来る範囲で要望を取り入れる」程度の生半可な顧客主義ではなく、顧客にとって本当に最適な商品やサービスを考え抜き、実現のためにはビジネスモデルの再構築さえ厭わない、そんな筋金入りの顧客視点を手に入れる。

 

(3)共創視点・・・すべてを自前で創るのではなく、外から人や技術を借りて"共に創り"時間とコストを節約する。

 

 この3つの視点なしに今の超競争下を生き残ることは難しく、「全ての事業には寿命があり、会社の永続には次の商売の種を造り続けることが欠かせない。それが自前で用意できないのならば買えばいい。」このように、まさにM&A(合併、買収)という手法を使ってでも"次の種"を探し出し成長を維持する積極的な姿勢を持つことが必要になってきます。この例としては、ソフトバンクが挙げられます。ソフトバンクは積極的なM&A戦略によりNTTdocomoを抜き、いまや世界のソフトバンクとなりつつあります。

 

 現在、1番目の創業者視点を持った経営をすることは、企業を取り巻く状況の変化から難しくなりつつあります。投資家は企業の長期的な成長・発展よりも短期の利益追求と高額な配当(投資リターン)を求める傾向にあるため、社長は長期的発展よりも自分の任期(一般的に社長の任期は2期4年が多いのです)を失敗なく恙無く終了し、次に代表取締役会長としてさらに2期4年を過ごしたいと思っているので、リスクを背負っての長期的な設備投資や研究開発投資には腰が引けてしまう傾向が見られます。

 

 久光製薬のようなオーナー企業は32年という社長長期在任期間を保っていますが、上場企業のほとんどの社長は、自分の在任中は恙無く終了したいと思っているのではないでしょうか。会社の将来のために設備投資や研究開発投資を行うと利益額が減少し、物言う株主から批判されることになるので、創業者視点を持たないで会社運営をする傾向にあります。昭和30年、昭和60年頃の創業者視点を持った経営者の考え方を検証する必要があると思われます。

 

 

川庄会計グループ 代表 公認会計士 川庄 康夫

Posted by Yasuo Kawasho
代表取締役 川庄 康夫

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