人事労務コラム - 2013-01-28

労働基準監督署の「調査」

労働基準監督署の「臨検」(企業への立ち入り調査)についてのご質問が増えています。

 

「どうしてうちに来たんでしょうか?」

「何を調べたいのでしょうか?」などなど。

 

「臨検」には大きく分けて4種類あります。

①厚労省の行政方針に基づき、定期的に行うもの(定期監督)

②従業員(もしくは退職者)の申告によって行うもの(申告監督)=「駆け込み」と言われるもの

③災害時に行うもの(災害時監督)

④是正勧告を行った企業を再調査するもの(再監督)

 

①の定期監督は、厚労省の行政方針に基づくわけですが、実際には各労基署が業種やテーマ等を絞り込んで行われます。

 

業界では、長時間労働(過重労働)が予測される業種(建設、運送、サービス業など)が狙われやすいという説もあります。

 

②の申告監督については、最近では、従業員本人のみならず、その家族や友人、恋人などからの「申告」も増えています。

 

労基署としては、たとえ申告者が匿名であっても、その内容に違法性を認識した場合は、基本的に何らかの動きを起こします。

 

この時に、①の定期監督の形を見せることもあるため、企業としては①なのか②なのかがわからないのが現状です。

 

一説によると(全部に当てはまることではないのですが)、労基署から提出を求められた資料が、直近の2~3ヶ月であれば、①定期監督であることが多く、1~2年ほどであれば、②の申告監督であることが多い、とも言われます。

 

※賃金債権の時効2年であるため、「2年分」と言われたらおそらく申告による不払い給与の件だと考えられます。

 

ちなみに、労働基準監督署の「署」は、警察署の「署」の字と同じ。書類送検することもできるのです。(労働基準監督官は、特別司法警察官の身分を持つ行政官です。)

よって、労基署の指導・勧告を無視する行為は、「悪質」と判断され、企業側が不利になる一方ですのでこうした調査にはきちんと対応するようにしましょう。

 

なお、労基署にも「件数ノルマ」があるという話もあり、万全な対抗策を持つ大企業を狙うより、(きちんとした労務担当者を置かない)中小企業を狙うほうが断然効率がよい、と考えられているともいわれます。

 

「うちは中小企業だから、法律やら守れんもんね...」

と言っていられる時代は、終わったのかもしれません。

 

KS人事研究所では、毎月、労務に関するセミナーを行っています。

 

http://www.ksj-k.co.jp/180/180060/

 

川庄会計グループ ㈱KS人事研究所 社会保険労務士 高田典子


ブログ TOP

相続・事業承継コラム 2024-03-22

4月1日より相続登記の義務化が開始されます。相続登記とは被相続人の所有していた不動産(土地・建物)の名義を相続人の名義に変更することを言いま ...


経営コラム 2024-03-08

会計ソフトや国税庁のHPで、個人の所得税の確定申告書を作成している際、所得金額が、2,000万円を超える方は、「財産債務調書」の提出が必要で ...


節税対策 2024-03-01

65歳以上の人で、身体障害者手帳を持っていなくても、認知症などで、介護保険の要介護認定(要介護1から要介護5)を受けており、「障害者控除対象 ...


節税対策 2024-02-24

中小企業が従業員の給与を前年より上げた場合、法人税が安くなる賃上げ税制が使いやすくなりました。 令和6年度の税制改正により、赤字の年でも5 ...


節税対策 2024-02-16

 確定申告の時期になり申告の準備を進められていることかと思います。  医療費控除について制度の内容と対象となる医療費等について簡単にお話し ...


092-524-6556
営業時間 9:00〜17:00