3月に入り、確定申告業務もいよいよ大詰めを迎えております。入社して、初めての繁忙期ですが、周りの先輩方の支えもあり、なんとか前に進むことができており、一歩ずつ成長できている(?)気がします。今回はそんな日々の中で覚えた知識を整理する意味で、確定申告における生命保険料控除について取り上げてみようと思います。
そもそも、生命保険料控除の適用となる保険料には3種類あり、一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料に区分されます。そのうち、一般生命保険料と個人年金保険料においては、平成24年1月1日以後に締結した契約に適用される新制度と、それ以前に締結した契約に適用される旧制度に区分され、所得控除額の計算方法に違いがあります。
表にまとめると次のようになります。
●新制度(平成24年1月1日以後に締結した保険契約に適用)
|
年間の支払保険料等 |
控除額 |
|
20,000円以下 |
支払保険料等の金額 |
|
20,000円超40,000以下 |
支払保険料等×1/2+10,000円 |
|
40,000円超80,000以下 |
支払保険料等×1/4+20,000円 |
|
80,000円超 |
一律40,000円 |
※介護医療保険料控除の計算方法は、新制度に準ずる
●旧制度(平成23年12月31日以前に締結した保険契約に適用)
|
年間の支払保険料等 |
控除額 |
|
25,000円以下 |
支払保険料等の金額 |
|
25,000円超50,000以下 |
支払保険料等×1/2+12,500円 |
|
50,000円超100,000以下 |
支払保険料等×1/4+25,000円 |
|
100,000円超 |
一律50,000円 |
保険契約の中には、新制度と旧制度が混在するものもあります。その場合には新旧それぞれの計算方法で計算後、合計したものが控除額となりますが、この場合には上限金額は50,000円までとなります。また、3種類の合計控除額の上限は120,000円までとなっている点にも注意が必要です。保険の種類ごとの控除額の上限をまとめると次のようになります。
●保険の種類ごとの控除額の上限まとめ
|
保険等の種類 |
旧契約 |
新契約 |
両方ある場合 |
|
一般生命保険 |
50,000円まで |
40,000円まで |
50,000円まで |
|
個人年金保険 |
50,000円まで |
40,000円まで |
50,000円まで |
|
介護医療保険 |
|
40,000円まで |
|
|
合計 |
120,000円まで |
||
ここまでは、控除額の計算のルールを簡単に記載してきましたが、生命保険料控除の対象者は誰なのか、についても確認すべき論点が存在します。
国税庁の質疑応答事例の中に次のような記載があります。
「(一部引用)生命保険料控除は、居住者が一定の生命保険契約等に係る保険料又は掛金を支払った場合に総所得金額等から控除することができます(所得税法第76条第1項)。この生命保険契約等については、その保険金等の受取人の全てがその保険料等の払込みをする者又はその配偶者その他の親族(個人年金保険契約等である場合は、払込みをする者又はその配偶者)でなければなりませんが、必ずしも払込みをする者が保険契約者である必要はありません(所得税法第76条第5項、第6項)。」
つまり、例えば自分の妻が契約者となっている生命保険の保険料控除証明書があったとして、自分がその保険料を支払ったことを明らかにした場合は、自分をその生命保険料控除の対象とすることができます。保険の組み合わせ次第では、控除額が大きくなる可能性もあるので、機会があれば一度ご確認されると良いかもしれません。
川庄公認会計士事務所 川上
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