節税対策 - 2019-02-15

事業承継税制、個人事業者にも

平成31年度税制改正により、個人版の事業承継税制が創設されるようです。

この背景には、中小企業経営者や個人事業者の高齢化が進む中、なかなか進まない後継者への事業承継問題を懸念する政府の後押しがあるようです。

 

 

個人版の前に、先ずは事業承継税制について簡単に説明します。事業承継税制とは、中小企業の事業承継を円滑化させるために、自社株の承継時にオーナーや後継者個人にかかってくる贈与税や相続税の猶予が受けられるという制度です。なかなか現金化しづらい非上場株式を世代交代により受け継いだはいいが、この受け継いだ非現金資産に多額の贈与税、相続税がかかってくるのでは、後継者はそもそも世代交代には応じかねるというのは想像の範疇だと思われます。そこで、一定の要件を満たした場合には、先代から引き継いだ自社株に係る贈与税、相続税については納税の猶予を認めるというものです。

 

ここで言う、一定の要件とは

 

 

①会社要件・・・・中小企業に該当する

     ・・・・非上場企業である

・・・・常時使用従業員の数が1人以上である   など

 

②先代経営者要件・・・・過去に代表権を有していた

        ・・・・贈与時において代表権を有していない    など

 

③後継者要件・・・・会社の代表権を有している

・・・・20歳以上である

・・・・役員経験が3年以上経過している    など

 

④特例承継計画を都道府県に提出し特例認定承継会社となる  など

 

といった要件です。

 

 

このような法人版の事業承継税制に追従する形で、平成31年税制改正により個人事業者が世代交代するにあたって後継者が引き継ぐ土地、建物、機械、器具備品等について贈与税、相続税が猶予されるというのが個人版の事業承継税制になります。対象資産が法人版の場合は非上場株式に限定されているのに対し、個人版の場合は土地や建物、機械といった資産が対象になっている点は大きく違うところです。

 

これにより、法人以外の個人商店の世代交代問題にも対応することになりますが、皆様におかれましても、「ウチもなかなか息子が後を継ぐ気になってくれない」など少なからず問題を抱えていらっしゃるかと思います。その際の一助として事業承継税制により一時的にせよ贈与税、相続税を節税することができるこの制度を活用してみてはいかがでしょうか。

 

 

川庄会計グループ 川庄公認会計士事務所 丸山和敏


ブログ TOP

人事労務コラム 2024-03-29

2024年度税制改正関連法が3月28日の参院本会議で可決、成立し、 1人当たり4万円の定額減税が実施されることになりました。   ...


相続・事業承継コラム 2024-03-22

4月1日より相続登記の義務化が開始されます。相続登記とは被相続人の所有していた不動産(土地・建物)の名義を相続人の名義に変更することを言いま ...


経営コラム 2024-03-08

会計ソフトや国税庁のHPで、個人の所得税の確定申告書を作成している際、所得金額が、2,000万円を超える方は、「財産債務調書」の提出が必要で ...


節税対策 2024-03-01

65歳以上の人で、身体障害者手帳を持っていなくても、認知症などで、介護保険の要介護認定(要介護1から要介護5)を受けており、「障害者控除対象 ...


節税対策 2024-02-24

中小企業が従業員の給与を前年より上げた場合、法人税が安くなる賃上げ税制が使いやすくなりました。 令和6年度の税制改正により、赤字の年でも5 ...


092-524-6556
営業時間 9:00〜17:00