節税対策 - 2013-12-10

税務調査の季節到来 1/4

Posted by 川庄 康夫
Yasuo Kawasho

1. 国税通則法の改正と税務署の対応

 平成23年11月30日に「納税環境整備に関する国税通則法等の改正」が成立し、平成25年1月1日から施行されています。この改正は、

    ①税務調査手続の明確化

    ②構成請求期間の延長

    ③処分の理由附記

の3点について行われました。

 

 今年の税務調査は、国税通則法の改正に従い原則通りに行われていますので、調査前に必ず連絡が入ります。「**会社の第*期*期*期の法人税と消費税・源泉所得税その他必要があればそれに付随するものも含まれます。」と調査の対象となる期間、税目等を読み上げられます。これらは改正ルール通りのことですから、別段問題はありませんし、こちらも特に不都合はありません。ですが、調査官にとっては事前の連絡に始まり、調査終了後の更正の請求があった場合に備えて証拠を揃えておいたりと、上司や税務署の審理担当者への説明する必要があるので、調査終了後の整理項目が増えたことにより作業時間が多くかかってしまい、昨年に比して調査件数が10%~30%減となっています。

 

 昨年までは調査にこられた税務調査官に「年間何件くらい調査にいかれますか?」と聞くと「大体30件程度です」といわれていたのが、今年は「とても30件はいけません。20件を少し超える程度です。」とか「25件程度はいきます。」と回答が返ってきます。(今年は法律又は改正の所内研修があったりしたのでさらに時間が取れなくなったとの話も聞きました。)今年は法律改正1年目ですから、税務署側も税理士・会計士側も新しいやり方に慣れていないので、余計に時間がかかっていますが、そのうち従来通りの1人当たり年間目標調査件数30件に落ち着くのでしょう。ただ、税務署員の数は減少し、一方で会社の数は増加しているので、税務調査の実調率(調査件数/会社の数)は低下傾向にあります。ですから、税務調査の方法も変化すると思われます。

 

 例えば、会社の決算書・勘定科目内訳書・会社概況書等で異常値が発見された場合に、すぐに調査に行くのではなく、文書で問合せをし、調査件数にカウントして数合わせをするとか、顧問の会計士や税理士を税務署に呼んで概況聴取を行い調査1件終了、と処理するなどが考えられそうです。

 

 調査を受けていて感じたことなのですが、(外部者の私が推測していることですが・・)国税庁は調査を通じていろいろな資料を集めたがっているようです。法人税務調査の時に必ず入手していく情報に、「代表者に関する事項」があります。以前は1枚のペーパーに簡単な社長の経歴・会社概要をヒアリングしていただけだったのですが、今年は社長個人が所有している自宅・その他不動産の状況、その不動産を取得した資金調達の方法、会計事務所への依頼状況、担当者の名前、担当になってからの期間、会社のパソコンの使用状況等々、4ページにも渡るものでした。これらは、調査官が調査時に調べれば済むものが大半ですが、所有している不動産の所有割合等を資料として持ち帰ったりするのを見ると、このような質問は、将来相続が起こるときの資料収集を事前に行っているのだ、と推測されます。

 

 

川庄会計グループ 代表 公認会計士 川庄 康夫

中国 HPhttp://www.fukuoka-jyoseikin.com/

Posted by Yasuo Kawasho
代表取締役 川庄 康夫

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