相続・事業承継コラム - 2023-06-09

相続土地国庫帰属制度

相続したものの使う予定のない土地を国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」が令和5年4月27日に施行しました。これまでは、相続財産に不要な土地があってもその土地だけを放棄することができず、不要な土地を含めて全て相続するか、他の資産も含めて全て相続放棄をするしかありませんでした。

この帰属制度では、R5年4月27日以降に相続した土地だけでなく、これまでに相続したあらゆる土地が対象になります。しかしながら、帰属制度には申請された土地が、「通常の管理や処分をするよりも多くの費用や労力がかかる土地」でなければ、国庫帰属を承認するとしています。

相続によって土地の所有権を取得した相続人であれば、申請することが可能です。制度の開始前に土地を相続した方でも申請できますが、売買等によって土地を取得した方や法人は対象となりません。土地が共有地であるときは、共有者全員で申請する必要があります。

次のような通常の管理又は処分に当たり過大な費用や労力が必要となる土地に該当しない土地が対象となります。

(国庫帰属できない土地の例)

 ・建物、工作物、車両等がある土地

 ・担保権などの権利が設定されている土地

 ・通路など他人に使用される予定の土地

 ・土壌汚染や埋設物がある土地

 ・境界が明らかでない土地

 ・危険な崖がある土地

 申請する際には、1筆の土地当たり1万4千円の審査手数料を納付する必要があります。また、法務局による審査を経て承認されると、土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出した10年分の土地管理費相当額の負担金を納付します。金額は原則20万円ですが、市街地や農用地区にある宅地、田畑、森林などは金額が上がります。

 令和6年4月1日より相続した不動産を相続人の名義に変更することが義務化されます。相続による取得を知ってから3年以内の登記申請を義務付け、正当な理由なく怠った場合には10万円以下の過料が科されてしまいます。また、法改正前にさかのぼって発生した相続や住所変更もすべて対象になります。現時点で相続登記が行われていないすべての土地について登記が義務化されます。

 今後は、相続したものの利用価値の低い土地について、負担金を支払い国庫帰属制度の利用を行うか、もしくは登記して固定資産税などを支払っていくのか比較検討していく必要があります。相続放棄の選択もありますが、固定資産税の納付義務がなくなるものの次の所有者が確定するまでは、自己の財産と同一の注意をもって財産の管理を継続しなければなりません。相続土地国庫帰属制度利用の前に、現在相続などで取得している土地を洗い出し、その名義をチェックを行う事が必要になってくるでしょう。

                    

                             川庄会計グループ 川庄公認会計士事務所 柴田


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