節税対策 - 2014-10-11

マイナンバー法についての雑感

Posted by 川庄 康夫
Yasuo Kawasho

マイナンバー法は、平成25年5月24日に成立し、同月31日に公布されました。

 

その運用準備として、特定個人情報の取り扱いを監視・監督する特定個人情報保護委員会が平成26年1月1日に設置され、平成27年10月から個人番号が通知される運びとなっており、実際の運用開始は平成28年1月を目処としています。

 

マイナンバー制度とは、国民一人一人に番号を付与し、各種の取引に際して、国民が取引の相手方(金融機関・不動産業者・宝飾業者・ギャラリー等)に番号を告知することや納税申告書及び取引の相手方(金融機関等)が納税当局に提出すべき法定調書に番号を記載することを義務付けることによって納税者に関する課税資料をその「マイナンバー」をキーとしてマッチング(突合せ)して整理し、管理することです。要するにその目的は

 

① 税金の取りはぐれのないこと

 

② 社会保障を正しく給付する(払い過ぎ・払い漏れの防止)しくみ

の2点に尽きると思います。

 

そのためには、個人単位、世帯単位での所得や金融資産から得られる利子所得・配当金・株式譲渡益および社会保障の給付額等を正確に補足し、名寄せによる合算の把握をもれなく実施することが必要となります。

 

しかし実際のマイナンバー制度は「社会保障・税の公平化・効率化」「電子政府」「身元証明」等多くの目的が入った法案となっています。

 

この中での一番の目的は「税の取漏れをなくす」ことだと思います。我が国の財政状態を考えると、将来消費税率は15%~25%にせざるを得ないと思われます。

 

その時には低所得者に消費税の還付給付付き税額控除も行われることになります。

 

この時、納税者の所得が全て公平に把握されていないと国民の間に不公平感が生じ、税の執行をスムーズに行うとこができません。

 

税の執行の現場では、たまに資産フライト(海外資金送金等)の話題が出ます。資産が海外に流出した場合、相続財産から漏れることになる可能性が大きいので、事前に個人の財産を把握していることは大変重要な課題であると国税調査官が言っていました。

 

平成23年8月26日、私は税務調査をうけました。川庄康夫個人の税務調査です。終了は平成23年12月末だったと記憶しています。調査開始から3か月間なしのつぶてだった税務署から12月にようやく連絡が入りました。

 

その時調査官は、「3年間の事務所の収入を確定するのに2か月かかってしまいました。それでもまだ完全には終了していません。」と、言います。

 

「会計士の報酬はすべて支払調書が提出されるので簡単に集計できるのにどうしてそんなに時間がかかるのですか?もう2ヶ月もたつのに、途中経過の連絡もなかったし、領収証も請求書も預けたままだったので、どうなっているのだろうと思っていたんですが、まだなんですか!」と、少々呆れて言いました。

 

「川庄会計事務所の所在地は中央区で、川庄康夫さんは南区の住所ですから、その突合せにものすごく時間がかかってしまいました。お時間とらせてしまいまして申し訳ありません。」と言います。

 

こんな時にマイナンバー制度があれば、瞬時に名寄せができ、税務調査に3か月以上もかかることはなくなるのだろうなあ、と思いました。

 

マイナンバー制度は、社会保障の世界(年金掛け金紛失捜査、生活保護費不正受給、保育園の保育料未納、学校給食費未納等)で力を発揮します。

 

また、所得が一元管理によって明確になるため、現在では、一定額以上の給与所得者の老齢年金は、一時支給停止や減額がされていますが、マイナンバー制度が導入されると、事業所得や不動産賃貸業、農業などで黒字経営をしている方々も同様に年金を減額されてくるでしょう。

 

税の世界では、名義預金・借名預金、一定額以上の贅沢品について、海外送金のすべてについてマイナンバー記入が必要になると、相続財産としてあるべきものの確認に主眼が置かれるようになり、今よりもスムーズに税務調査等が進行するものと思われます。

 

しかし、現金に関する取引、例えば引き出された現金がどこへ行ったのか、といったような調査はあい変わらず時間がかかりそうです。

 

 

川庄会計グループ 代表 公認会計士 川庄 康夫

Posted by Yasuo Kawasho
代表取締役 川庄 康夫

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