相続・事業承継コラム

2017年7月13日 木曜日

円満相続のために~兄弟仲良く

1.相続をめぐる紛争の状況
人口動態総覧によると平成25年の死亡者数1,268千人、平成26年の死亡者数は1,269千人で平成28年はほぼ130万人弱の方が亡くなられています。

一方相続に関する紛争として、家庭裁判所への相続関係の相談件数は平成24年度は174,494件あり、この10年で約1.9倍増加しています。

遺産分割事件(家事調停とは、相続人等の間の遺産分割に関する争いについて家事審判官(裁判官)と民間から選ばれた調停委員が間に入り、非公開の場でそれぞれから言い分をよく聴きながら話し合いによって適切で妥当な解決を目指す手続き)は15,286件で、この10年で1.4倍に増加しています。

死亡者数に対して10%以上の方が相続の相談に家庭裁判所を訪問しています。死亡者130万人弱のうち相続が発生する被相続人の割合を50%と仮定すると40%弱の人が紛争によって家庭裁判所に相談していることになります。

これから類推できることはほぼ50%以上で、相続に関して、何らかの紛争が起こっているということです。

争族を回避するために公正証書遺言書を作成したにもかかわらず、その内容に不備があり一層揉め事になっているケースが最近よく見られます。

2.公正証書遺言作成に当たっての留意点
被相続人は、遺言書を作成すれば自分の財産を法定相続人以外の者へも全財産を遺贈することができますが、残された家族が生活できなくなる状況が生じる可能性があります。

これらを防ぐ意味もあり民法1028条において相続人が最低限相続できる財産を決めています。これを「遺留分」と言います。

侵害された遺留分を確保するために遺留分を侵害している他の相続人や受贈者たちに対して「遺留分減殺請求」をすることになります。この「遺留分減殺請求」をする期限が決められています。それは、相続開始及び自分の遺留分が侵害されていることを知った日から1年です。あるいはそれらを知らなくても相続開始の日から10年を過ぎると時効となります。そのため時効の前に家庭裁判所へ訴えることが必要です。

夫婦間に子供がいない場合の相続人は配偶者と被相続人の親、もし親がいなければ被相続人の兄弟姉妹となります。兄弟姉妹に遺留分はありませんが直系尊属の親(父、母)には遺留分が発生します。そのためには相続財産は配偶者へ相続させるとの遺言書が必要となります。

最近の事例として兄弟3人が法定相続人の場合に長男に被相続人の財産全てを相続させるとの公正証書遺言が出てきました。他の相続人も被相続人の財産を承継する権利がありますと訴えようにも財産がどれだけあるかの把握が難しい場合には裁判に訴え、職権で全財産を把握してうえで財産の分割をすることになります。

遺言書に分け方の記載がないものもあります。以前「兄弟仲良く末永く先祖を守ってほしい」とのみ記載されているものがありました。この時は一旦配偶者へ全財産を寄せて代償分割で各々兄弟へ遺留分相当額を配偶者(母親)から各人へ相続させることで遺産を分割しました。

今、財産が3,000万円以下の方が一番揉めるそうです。全相続財産が3,000万円あり、そのうち居住用財産がほとんどという場合には、その居住用財産を売却して分割せざるを得ないことになります。

川庄グループには「一般社団法人福岡相続相談センター」があり月に50~60件の相続・事業承継の相談を受けています。相続では一旦揉めると今後の兄弟間の修復は難しく兄弟の行来がなくなることもあります。もしもの時の相談窓口として「福岡相続相談センター」を活用ください。  

「福岡相続相談センター」の電話番号 0120-459-081                

川庄会計グループ 代表 公認会計士 川庄 康夫


 

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2017年1月21日 土曜日

遺言書がある場合の遺産分割

平成27年に相続税の基礎控除が下がり、相続税の納税義務が生じる方も増えてきました。
また、相続に対する関心が高まるにつれ円滑な財産の継承を考えて遺言書を作っておく方も増えてきたのではないでしょうか?
相続が「争続」にならないように遺言書は作っておくべきだと思います。
財産が少ないからといって必ずしも争続にならないかというとそうではありませんので作っておくにこしたことはありません。
残された人が困らないように遺言書にて意思表示をすることはとても大切です。


しかし、相続人の間で遺言書の内容に疑問があり従いたくないというケースも出てくるかと思います。その場合、遺言書を無視して遺産分割協議を行うことは出来るのでしょうか?


例えば、遺言書には「全財産を妻に相続する」と書かれてあっても妻は子供に相続させたい場合があるとしましょう。


この場合、結論から言いますと相続人全員の合意があれば可能になります。
妻が相続を放棄すれば、妻と子供達で改めて遺産分割協議を行い遺産分割するわけです。


いずれにせよ相続の開始があった場合、税金や遺産分割など様々な手続きや課題が出てきますので、事前に相談をされることをおすすめします。

川庄公認会計士事務所 中馬

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2016年10月29日 土曜日

相続の現場から

1.相続人の関係
父親は勤務していた会社の近所に少し広めの土地を購入し自宅を新築しました。子供は長男Aと長女B、二女C、三女Dの4人です。

中学校の先生となった長男Aは同じく中学校の先生で共働きの妻(A′)との間に1男(A″)が生まれ、父親所有の土地に自分名義の自宅を新築しました。

長女B、二女Cは隣の県に嫁ぎ三女Dは遠方に嫁いだため実家とは疎遠になっていました。

2.1次相続
父親は定年後に他界しました。この時、遺言書はなく長男Aが財産分与を主導し、父親の所有する全ての財産を母親が相続することで決着しました。

相続によって兄弟間で揉めないように、母親に全ての財産を相続しました。母親が財産を持っていることで兄弟は母親を大切にするとの思いもありました。

子の相続では相続財産が相続税の基礎控除(1億=5,000万円+1,000万円×相続人5人)以下であったため相続税はかかりませんでした。

相続財産である不動産と預貯金を母親名義にするためには遺産分割協議書を作成して手続きをする必要があります。

母親以外の相続人A、B、C、Dは相続を放棄し父親の全ての財産を母親が取得するように遺産分割協議書を作成し不動産の登記と銀行預金の名義変更を行い全ての財産を母親名義としました。このときは遺産分割のトラブルはなく円満に相続を終了しました。

その後、長男Aは病気で亡くなりましたがAの妻(A′)は学校の先生を続けながら子(A″)を育てていました。長女B二女C三女Dも子供に恵まれそれぞれ平穏に暮らしていました。

3.2次相続
数年後、母親が他界します。父親の相続を取り仕切った長男(A)も他界しているため、この時の相続人はAの子A″とB、C、Dの4人です。この時A″はまだ中学生ですので遺産分割の話し合いにはAの妻(A′)が子A″の代理人といて参加しました。

この話し合いに立ち会った私は「A″がまだ中学生だからA″に少し多く残してはどうですか」との参考意見を述べました。

それぞれが家庭に帰り、それぞれの家庭で話し合いがもたれるたびに権利の主張が激しくなってきました。あくまでも平等に分けるべきだとの主張です。

「不動産をこのまま平等に分けることはできませんよ」と説明するのですが何も聞いてはくれない状況になっていました。

土地建物の評価額は大きな価額ではありませんでした。妻A′が自身の親から1,500万円は借入ができそうであるとのことでしたので私は代償分割を提案しました。

つまり、A″が居住している不動産をA″が全部もらうかわりにB、C、Dそれぞれに500万円ずつ支払う提案をしたのです。

この提案にB、C、Dは当初納得してくれたのですが、そのうちB、C、Dのうち誰かが言い始めました。「1,500万円出すと言ったけど本当はもっと出せるのではないか。」「退職金の前借をすればいい。」などと主張したのです。

公務員が退職金の前借などできません。妻A′はB、C、Dに用意できないことを伝えると今度は1人700万円と具体的な数字の提案がありました。

妻A′は両親に頼みお金をかき集めて「2,100万円用意し支払います」と連絡しました。すると「もっと出せるのではないか」と言い出しました。しかし今度は妻A′の両親が「そんな人達には出せない」と返事をしたことで裁判が始まりました。

結果1年超かかった裁判で土地を分割することになりました。B、C、Dはその土地を売却し1人約700万円の売却代金を手にしました。

B、C、Dは「ほら、こちらの方が多かった」と言っていましたが翌年に不動産売却の確定申告をすることになり1人あたり139万円の納税が発生したため手取りは570万円。また健康保険料もアップしてしまいました。

1年超にわたる裁判費用も持ち出しになります。当初の代償分割の金額500万円で合意していれば兄弟間も良好な関係を続けることができたでしょうし、代償分割700万円での合意であれば手取り金額はもっと多かったのにと、後で悔やんでも仕方ありません。

川庄会計グループ 代表 公認会計士 川庄康夫

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2016年4月 1日 金曜日

家族信託の活用例

遺言と家族信託について
遺言書の作成のメリットとしては、①財産を特定の相続人に相続させることができる②遺留分を侵さない範囲内で特定の人に財産を渡すことができる③相続人以外の第三者へ財産を遺すことができる④家族に本人の思いを込めたメッセージを残すことができる。ということがあげられます。

兄弟仲良く先祖を守ってほしい等を伝えることができます。被相続人が死んだ後のことが記載してあり、家族信託とは、高齢者などが家族に対し自分の保有する財産の管理を委託することをいいます。これをすれば相続対策終了と言うわけではありません。遺言書との組み合わせで考えることが必要です。

「信託」は財産管理の一手法であり、「本人の想いを財産管理と資産承継について安心して現在から将来へ繋げる仕組みです。信託銀行等に財産管理を任せるのではなく、個人や法人に財産管理を任せることを「民事信託」といい、その中に「家族による家族のための民事信託」があります。つまり家族が財産の預り手(財産管理をする者)となり「高齢者や障害者のための安心円滑な財産管理」や「柔軟かつ円滑な資産承継対策」を実現しようとする形態を「家族信託」といいます。

信託を使うと
①死後のことを取り決めて、生活費等を定月定額渡すことができます。
②遺産の貰い手(相続人や受遺者)が一定の年齢になったら、(たとえば成人になったら)遺産を渡してほしい
③遺産の貰い手が、将来その遺産を使い切れずに死亡したら、その次の財産の貰い手まで指定することができます。遺言ではここまでの指定はできません。
④特定の目的(家の増改築や施設入所等)のために遺産を活用してほしい「信託」という法律行為を利用することで、単に「誰にどんな財産をあげる」というのではなく、遺産を「信託財産」に組み込み信託の枠組の中で「誰に、何の目的のために、どのような形で財産をあげるのか」を指定することができます。

似た仕組みとして「成年後見人制度」がありますが、委託者のニーズを十分組み込むことができない場合があります。「成年後見人制度」は判断能力の不十分な高齢者や障害者の財産管理の手段として利用されますが
①判断能力が低下した後でも、積極的な資産運用(賃貸不動産の取得や株式投資等)をしたい
②判断能力が低下した後でも、相続財産として生前贈与を継続していくなどは、本人の財産を減らさないように管理するのが成年後見人制度の趣旨ですから信託のようなことはできません。

信託は成年後見人に財産管理をお願いすることに替えて契約で信頼できる方に今から財産を託し、本人の目的に沿った管理をお願いすることで財産管理の手法として利用することができます。

たとえば、1つしかない不動産を共有するとその所有者全員が一致をしないことには不動産の賃貸借や不動産の売買はできません。共友者の意見不一致により処分不能財産となります。相続人等に「所有権」ではなく「信託受益権」として共有することで不動産の共有者と同様の権利、財産的価値を保持させたまま不動産の管理処分権限だけを受託者に集約させることで上記のようなことを防ぐことができます。

たとえば再婚したAさんとBさん。Aさんの自宅で暮らし始めました。AさんBさんの間に子供はいませんが、Aさんには子供Cさんがいます。CさんはBさんと養子縁組をしていません。

Aさんが亡くなった後、Bさんが自宅を相続したとします。Bさんの相続が発生したらCさんへ渡したいと思っても、CさんはBさんの相続権はないので、Bさんの兄弟等へ自宅が移ってします。

家族信託を使い、Cさんを受託者にして自宅を信託しAさんが生きているうちはAさん自身を受益者にAさんが死んだ後はBさんを受益者にします。Bさんが死んだら信託が終了し残余財産の帰属先をCさんにしておけば、BさんはAさんが死んだ後も引き続き自宅に住むことができ、Bさんが死んだ後はCさんが自宅を引き継げます。

このように家族信託の仕組みは、財産を持つ高齢者等を委託者、管理や処分を任せたい家族を受託者とし、委託者と受託者との間で遺言若しくは信託関係を結ぶことで財産の譲渡が成立します。


川庄会計グループ 代表 公認会計士 川庄 康夫

 

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2015年11月10日 火曜日

相続税、税務調査の留意点

1.相続税を広く薄く負担する
平成27年1月から相続税法の改正がなされ相続税基礎控除の引き下げと相続税率、贈与税率の引き上げが決まりました。

相続税の基礎控除は従前の60%(基礎控除、3,000万円プラス法定相続人×600万円)となったため、例えば相続人が配偶者と子供2人の場合では改正前は8,000万円だった基礎控除額が4,800万円に引き下がることになります。これにより4,800万円以上を超える相続財産をお持ちの方は相続税がかかることになり相続税の申告が必要となります。

相続財産には不動産、預貯金、株式などの有価証券などのほかに生命保険も対象となります。これらの合計が基礎控除額(上の例では4,800万円を超えれば相続税の申告が必要になり相続税が発生します。

配偶者については「配偶者の税額軽減」制度があり、遺産総額の二分の一か1億6千万円のいずれか多い金額までは課税されません。(申告は必要です)

したがってこの制度を利用すれば相続税の節税をすることは可能ですが子供さんが未成年者の場合には、家庭裁判所に特別代理人選任の申請を行い特別代理人を決定してもらうことになりますが、裁判所では子供の権利が優先され配偶者の税額軽減を利用するための財産の分配はなされません。

相続税の申告は被相続人が亡くなってから10カ月以内に行わなければなりませんが被相続人が確定申告をしなければならない人である場合には、亡くなってから4カ月以内に確定申告に準じた「準確定申告書」を提出しなければなりません。

相続税申告書を提出した後1年6か月ぐらいに相続税の調査がありますが、相続税の調査はすべてが対象となるわけではなく疑義がありそうな申告を対象に選定されます。

2.税務調査の留意点
①法人税、所得税同様に相続税の調査においても、聞かれたことだけを答える。決して余分な話はしないが基本です。

今迄査察以外の税務調査は何月何日の何時に自宅へ訪問しますと事前連絡があります。この間に申告内容を再度確認することはできますが隠すことは得策ではありません。

②調査初日の午前中(10時~12時)又半日程度、被相続人の死亡時の状況を聞かれます。
たとえば急に亡くなられたのか、病院の入院期間は長期にわたったのか?

亡くなる前に預貯金の引き出しがなされる可能性があり、その場合には何に使ったのか調査があります。

調査官「この預金は誰が引き出しましたか?」
相続人「知りません」
甲「この預金引き出しの筆跡は誰が書いたものですか?」
乙「私が書きました」
甲「引き出した現金はどこにありますか?」
乙「知りません」
甲「貴方が引き出して知らないはずはないでしょう?」
「知りません、わかりません」と突っ撥ねることができればいいのですが難しいと思います。

被相続人の趣味も必ず聞かれます。旅行が趣味、海外旅行(お金は相当使ったであろう?)海外旅行に頻繁に行っていると、海外銀行口座を開設していないか、海外不動産を購入していないかを念入りに調査されます。

お酒はどうですか?どんなお店で飲んでいましたか?それとも自宅で晩酌してありましたか?(お金は飲み代に消えたのか?それとも特定の女性はいたのか?)

美術品、書画、骨董であれば相続財産計上してあるはずであるとか?自宅訪問時に美術年鑑等が本棚に鎮座していると特に念入りに調査されます。

株式売買が趣味で信用取引をしていたとなると多分信用取引で負けて財産が減少しているかもしれない(信用取引して勝った人は少ないそうです)

③家族名義の預金の調査
贈与をした場合にそのぞうよについて贈与税の申告をしていたり、贈与の契約書があると問題になりませんが、被相続人の通帳から家族(子供)名義預金が形成されていると鋭い質問が飛んできます。

預金通帳や証書は作ったのは誰でその管理は誰がしていたのか。贈与であれば別に問題になりませんが、贈与を受けたことになっている人がその贈与の事実を知らなかったり、預金通帳の印鑑を贈与を受けた人が管理していない場合など実質的にその所有が被相続人であると被相続人の相続財産として申告しなければいけません。

銀行の貸金庫は必ず見られます。又貸金庫の開閉の年月日と日時もチェックしていますので、その時の金庫の中の状況を詳しく説明を求められることになり、不自然があると更なる追求がありますが一般的にはあまり問題にならないと思われます。


川庄会計グループ 代表 公認会計士 川庄 康夫
 


 

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