相続・事業承継コラム

2012年12月19日 水曜日

成年後見人について考える。川庄ジャーナルNo89②

前回に続き、成年後見人制度についてお伝えします。

5.任意後見制度
任意後見制度は「契約をする」となっていますので、その対象者(委任をする人)は、法律行為を行うだけの判断能力があることが必要です。即ち「契約の内容が理解でき」「契約をする意思があること」が条件です。

任意後見制度とは、本人が自身の将来のことについて契約で定めておくことであり、「公証人が作成」し、「任意後見監督人選任を発行事由とする」委任契約です。この契約は、公証人の署名押印によって有効となりますので、原則公証人役場で手続を行うことになります。費用も多額にはなりません。通常4万円程度で終了します。(ちなみに、後見人の報酬ですが、月額3万円前後が相場のようです。)

任意後見契約では、任意後見人は契約書に書いていない仕事をすることは出来ませんので、あらかじめ受任者にお願いする内容を決め、代理権目録に明記しておく必要があります。代理権目録に記載できる内容は、証書の様式に関する法務省例に定められていますので心配することはありません。

6.任意後見契約の方法
任意後見契約の方法には「即効型」・「将来型」・「移行型」と3つの契約形態があります。任意後見契約は、委任者の判断能力が低下した際に任意後見監督人が選任されて初めて発効します。任意後見受任者が家庭裁判所に申し立てを行いますが、任意後見人の選任には通常、2~3ヶ月を要します。

「即効型」では、契約時点で既に判断能力に問題がある状態で契約を行い時間をおかずに任意貢献監督人選任の申し立てをするため、契約の妥当性が問題になったりします。

「将来型」も任意後見監督人の選任までに2~3ヶ月を要しますので、その間の委任者の保護に不安があることや契約から選任審判申し立てまでの期間に、委任者と受任者の関係がこわれたりのデメリットもあります。

最もよいのは「移行型」だと思われます。これは、認知症などによる判断能力の低下が発生するまでは、本人の財産管理等を行う事務委任契約を締結し、判断能力低下後に任意後見契約に移行する契約です。このような財産管理事務契約と任意後見契約をセットにすれば問題なくスムーズに後見契約がスタートします。

7.後見人について
成年後見人は法人でも行うことができます。「後見人に」との依頼がありましたので、川庄会計グループの法人、株式会社クリエティブ・マネージメント・コンサルタンツを任意後見人とすることにしました。この法人を任意後見人とするために、会社定款を追加変更し、任意後見人・法定後見人の受任・指導・高齢者の財産管理・遺言執行・葬儀等の死後処理等を行うことにしました。

もともと、ご依頼主のご両親の任意後見人は東京の弁護士だったのですが、使途不明の金銭があり、問合せをしても明確な回答が得られなかったので、後見人の解除申し立てを行い後見人を変更しました。時間はかかりましたが、子供さんがいらっしゃる福岡で任意後見人としてこの法人で契約を行いました。

成年後見契約は個人とでも可能ですが、永続性や公正性を考えると、きちんとした法人と契約することをお勧めします。

川庄会計グループ代表 公認会計士・税理士 川庄 康夫


 

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2012年12月17日 月曜日

成年後見人について考える。川庄ジャーナルNo89①

成年後見人の制度について、2回に分けてお伝えします。

1.急速な高齢化の進展
今年は戦後生まれの団塊の世代1期生が、65歳となり前期高齢者の仲間入りをしました。さらに、今後2年ほどのうちに約800万人の人たちが65歳を迎えることになります。ここ数年のうちに前期高齢者となった人たちは、今後10年の後には75歳の後期高齢者となるわけです。

65歳では多少の物忘れはあっても、認知症の症状がある方は少ないのですが、75歳を超えるとひどい物忘れが発生したり、経度の認知症が出る方が増えてきます。認知症になると遺言書も書けず、またその効力もありません。また、老人の判断能力が低下したところにつけいるような商売も多く巷にあふれています。

かく言う私の別居していた父親も、人に騙されて(?)高額の布団やマッサージ機械を購入したりしていました。何で購入したのかと聞くと、「体に良いと言われ、健康に気をつけなければいけないと思うので購入した」と言っていました。年寄りに何十万円もするものを売りつけるのは問題ではないかと思いましたが・・・。

先祖代々の資産を守っていくために、また自分の意に添わない相続を避けるためにも、「相続はずっと先。自分は(私の両親は)まだ大丈夫」と思っているうちに成年後見人について知識を持っておくことをお勧めします。

成年後見人は、両親と離れて暮らしている場合や、両親の認知の度合いが進行している場合、または高額な物品の購入を防ぎたいなどの法律行為に関して、両親が人に騙されないようにしたい時に有効に使える制度です。

2.成年後見制度の意義
成年後見制度とは精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害等)のために判断能力が不十分となり、契約など法律行為の意思決定が困難となった人の能力を補う制度です。本人を代理して、法律行為を行う事務ですから、身の回りの世話をする身体介護などは含まれません。

成年後見人制度の利用によって後見人が代理で行うことができる法律行為は、財産管理(預貯金の管理、払い戻し、公共料金の支払、年金の受取、不動産の売買、賃貸借契約など重要な財産の管理、処分、遺産分割、相続の承認、放棄など相続に関する財産の処分等)と身上監護(日常生活や病院などでの療養看護に関わる法律行為で日用品の買い物、介護サービスの利用契約、要介護認定の申請、福祉関係施設への入所契約や医療契約、病院への入院契約等)から成り立っています。

3.法定後見制度と任意後見制度の違い
成年後見人には、法定後見と任意後見の2つがあります。法定後見は、認知症・知的障害・精神障害などによって判断能力が既に低下しているか他の権利擁護のために、家庭裁判所が後見等の開始とともに後見人を決定するというものです。

任意後見は判断能力に問題のない方が、将来判断能力が低下した際に任意後見人となる方(任意後見受任者)と依頼する代理権の内容を決め、公証人役場で契約するというもので、一般的にはこの任意後見が多数を占めています。  

後見人は、誰でもなる事ができます。配偶者、親族等でもなることができますが、本人の生活を最も理解している人を後見人等とするのが良いと思われます。誰でも後見人になれますので、子供兄弟姉妹、甥姪等の親族の外に専門職(弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、行政書士等)が本人の状況に応じて選任されます。そのため身上監護を親族の後見人にしたり、財産管理を専門職に委ねたりする事例もあります。 
 
4.成年後見人の行う財産管理業務
成年後見人の行う業務には、以下の事項があります。
①重要な証書の保管と各種手続(銀行等預貯金通帳等)
②年金・賃料その他の収入の受領や管理
③金融機関とのすべての取引(ただし運用は除く)
④必要な費用の支払等
⑤居住用不動産の維持・管理
⑥日常生活での金銭管理(病院・施設へは預託金にて管理)
⑦寺社等への贈与(本人が行っていた寄付、寄進等の継続)
⑧本人に必要な衣類や生活用具の購入
⑨その他の財産の維持・管理・処分

次回は、任意後見の具体的な手続等についてお伝えします。

川庄会計グループ 代表 公認会計士・税理士 川庄 康夫


 

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2012年12月12日 水曜日

認知症になった方の相続について

ご両親がご高齢となり、認知症で相続にご不安をお持ちの方がいらっしゃると思います。相続の際に相続を受ける方が認知症である場合には、遺産の分割協議ができません。その際には成年後見制度を検討されてはいかがでしょうか。

成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などによって物事を判断する能力が十分でない方について、本人の権利を守る援助者(『成年後見人』)を選ぶことで、本人を法律的に支援する制度です。

成年後見制度には、

(1)法定後見制度と(2)任意後見制度があります。

(1)法定後見制度とは、物事を判断する能力が十分でなくなったときに、住所地の家庭裁判所に申立てをし、成年後見人を選任します。

(2)任意後見制度とは、本人に十分な判断能力があるうちに、代理権を与える契約を、公正証書によって結んでおくものです。

実際に、物事を判断する能力が十分でなくなったときに、家庭裁判所に申立てをし、結んでいた契約により後見人になります。

現状としては、必要になったときに(1)法定後見制度を利用している方が多いとのことです。

(2)についてはこれからという所があるかと思います。

法定後見制度では、成年後見人には家族の方でもなれますが、家族関係が上手くいっていない場合には、第3者がなる場合もあるようです。

一つ注意しなければならいのは、成年後見人は本人の権利を守るための制度ですので、本人のためにしか財産を使用することができなくなる点です。

贈与や相続対策もできなくなりますので、事前に対策をしておく必要があります。

当事務所では、相続対策、遺言から成年後見制度まで幅広くお手伝いをさせていたておりますので、お悩みの方は遠慮なくご相談下さい。

田中 理


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