相続・事業承継コラム

2016年4月 1日 金曜日

家族信託の活用例

遺言と家族信託について
遺言書の作成のメリットとしては、①財産を特定の相続人に相続させることができる②遺留分を侵さない範囲内で特定の人に財産を渡すことができる③相続人以外の第三者へ財産を遺すことができる④家族に本人の思いを込めたメッセージを残すことができる。ということがあげられます。

兄弟仲良く先祖を守ってほしい等を伝えることができます。被相続人が死んだ後のことが記載してあり、家族信託とは、高齢者などが家族に対し自分の保有する財産の管理を委託することをいいます。これをすれば相続対策終了と言うわけではありません。遺言書との組み合わせで考えることが必要です。

「信託」は財産管理の一手法であり、「本人の想いを財産管理と資産承継について安心して現在から将来へ繋げる仕組みです。信託銀行等に財産管理を任せるのではなく、個人や法人に財産管理を任せることを「民事信託」といい、その中に「家族による家族のための民事信託」があります。つまり家族が財産の預り手(財産管理をする者)となり「高齢者や障害者のための安心円滑な財産管理」や「柔軟かつ円滑な資産承継対策」を実現しようとする形態を「家族信託」といいます。

信託を使うと
①死後のことを取り決めて、生活費等を定月定額渡すことができます。
②遺産の貰い手(相続人や受遺者)が一定の年齢になったら、(たとえば成人になったら)遺産を渡してほしい
③遺産の貰い手が、将来その遺産を使い切れずに死亡したら、その次の財産の貰い手まで指定することができます。遺言ではここまでの指定はできません。
④特定の目的(家の増改築や施設入所等)のために遺産を活用してほしい「信託」という法律行為を利用することで、単に「誰にどんな財産をあげる」というのではなく、遺産を「信託財産」に組み込み信託の枠組の中で「誰に、何の目的のために、どのような形で財産をあげるのか」を指定することができます。

似た仕組みとして「成年後見人制度」がありますが、委託者のニーズを十分組み込むことができない場合があります。「成年後見人制度」は判断能力の不十分な高齢者や障害者の財産管理の手段として利用されますが
①判断能力が低下した後でも、積極的な資産運用(賃貸不動産の取得や株式投資等)をしたい
②判断能力が低下した後でも、相続財産として生前贈与を継続していくなどは、本人の財産を減らさないように管理するのが成年後見人制度の趣旨ですから信託のようなことはできません。

信託は成年後見人に財産管理をお願いすることに替えて契約で信頼できる方に今から財産を託し、本人の目的に沿った管理をお願いすることで財産管理の手法として利用することができます。

たとえば、1つしかない不動産を共有するとその所有者全員が一致をしないことには不動産の賃貸借や不動産の売買はできません。共友者の意見不一致により処分不能財産となります。相続人等に「所有権」ではなく「信託受益権」として共有することで不動産の共有者と同様の権利、財産的価値を保持させたまま不動産の管理処分権限だけを受託者に集約させることで上記のようなことを防ぐことができます。

たとえば再婚したAさんとBさん。Aさんの自宅で暮らし始めました。AさんBさんの間に子供はいませんが、Aさんには子供Cさんがいます。CさんはBさんと養子縁組をしていません。

Aさんが亡くなった後、Bさんが自宅を相続したとします。Bさんの相続が発生したらCさんへ渡したいと思っても、CさんはBさんの相続権はないので、Bさんの兄弟等へ自宅が移ってします。

家族信託を使い、Cさんを受託者にして自宅を信託しAさんが生きているうちはAさん自身を受益者にAさんが死んだ後はBさんを受益者にします。Bさんが死んだら信託が終了し残余財産の帰属先をCさんにしておけば、BさんはAさんが死んだ後も引き続き自宅に住むことができ、Bさんが死んだ後はCさんが自宅を引き継げます。

このように家族信託の仕組みは、財産を持つ高齢者等を委託者、管理や処分を任せたい家族を受託者とし、委託者と受託者との間で遺言若しくは信託関係を結ぶことで財産の譲渡が成立します。


川庄会計グループ 代表 公認会計士 川庄 康夫

 



投稿者 川庄会計グループ

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