経営コラム

2014年2月 7日 金曜日

会社の寿命パートⅡ ~中小・中堅企業編~ その2

2. 顧客視点の徹底
第2の視点は「顧客視点」です。

 最近新聞やテレビをにぎわせている、マルハニチロの農薬混入問題は、従業員が会社への給与・待遇面に不満を持っていたことが原因と報じられました。容疑者は数年前から会社に対する不満を持っていたとの報道もあります。又、同様に昨年秋ごろ阪急阪神ホテルズや有名デパート等のレストランメニューの「誤表示問題」が明るみに出ました。

 これらの問題の根本原因として、日本企業は合理化や効率化を優先し、長期的に顧客視点を置き去りにしてしまったということがあげられるでしょう。そのため前述のような問題が起こったのだと思います。

 フレンチレストランの三国清三シェフはこう話されています。
「スタッフが集めてきた旬の食材リストを前に、毎月数時間の生みの苦しみを味わうとのことです。例えば冬に旬を迎える食材も、その前後に「走り」と「名残」があります。「走り」だと青臭くなり、「名残」だとえぐみや硬さが増します。旬の食材は栄養価が高くなります。そんな微妙な味覚と食感の違いをメニュー作りに生かすように心がけているそうです。養殖やハウス栽培の技術が進歩したおかげで今や1年を通して口に出来る食材が増えてはいます。旬であろうとなかろうと出せばお客が喜ぶ、有名ホテルや百貨店の提供であればお客は喜んで食す、という作り手側の慢心や「旬」の概念をないがしろにしてきた結果が、食材の虚偽表示問題の背景として浮かび上がって、マスコミで大きく取り上げられたのだと思います。」

これらの事件は「顧客視点」経営が欠如したために発生したものと思われます。

 又、引越し業界に目を転じれば、以前はよく宣伝をしていた業者は、「引越しの日通」一社でしたが、その後は「アート引越しセンター」「サカイ引越しセンター」「松本引越しセンター」の3業者がよく宣伝競争を繰り返していました。現在は、この中で「顧客視点」に重点を移した会社のみが残っています。

 「松本引越しセンター」は引越しという仕事は一度依頼すると当分の間引越しは行わないし、ヘタをすると2度と引越しは頼まないだろうから、料金は取れるだけ取れ、出来るだけ効率よく引越しをしなさいとトップから指示が出ていました。確かに仕事は速いけれども、雑で荒いし言葉使いもあまり良くない、という感じだったようです。このやり方ですと短期的には利益が増加しますが、長期的に見ると会社として存続できないようになってきます。

 そのため、今は「松本引越しセンター」の名前はほとんど聞かれなくなってきました。一方最近の「アート引越しセンター」は社長が変わったのかどうかわかりませんが、仕事は親切で丁寧作業もキレイ、担当者の言葉使いもやさしくお客さまとして遇しているので一時は低迷していましたが、今3社の中では一番伸びている会社となっていると思います。

 正直者がバカをみると言われたりしますが、それは違います。顧客視点に基づく経営をすることで長期的視点で経営することができますし、間違ったり誤ったことがあったりしたら頭を下げて早め早めに対応することです。
 
 日経ビジネスの3つの視点の中には入っていませんが、驕りを持たず謙虚さを失わなければ、人の意見を率直に聞き入れることも出来るし、設備投資を行う時もこれで良いのかの反芻を行い事業計画の練り直しを行うこともできます。驕りを待たず、業界、または地域で一番になるとの気概を持った経営を続けることが会社の寿命を長くするものなのだと信じています。
  

  川庄会計グループ 代表 公認会計士 川庄 康夫


 

投稿者 川庄会計グループ

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